トップページ > 専門部会について > PDCA部会 > 患者体験調査に基づく愛媛県がん診療連携協議会のPDCA活動

専門部会について

PDCA部会患者体験調査に基づく愛媛県がん診療連携協議会のPDCA活動

患者体験調査とは

『患者体験調査』とは、『がん対策推進基本計画』に基づき、がん対策の効果や進捗を知るため厚生労働省の委託を受けた国立がん研究センターが、がんと診断された患者さんに、診療に対する体験をアンケート調査したものです。
最新のものは対象が平成25年及び28年にがんと診断された患者さんです。(令和5年度に新たな調査が行われる予定です)

 

 

  • がん患者側の実感が分かる貴重な調査

患者団体の代表と国立がん情報研究センターが共同で解析結果の評価を行っています。殆どのがん診療の質の評価研究は医療者側の実績の評価ですが、これはがん診療を提供された側がどう感じたか、情報が伝わったかどうかに対するアンケートです。患者側のがん診療に対する実感が分かる貴重な調査です。少し古いデータとはなりますが、最新の患者体験に関する情報です。

愛媛県がん診療連携協議会PDCA活動と患者体験調査

  • 愛媛県の患者体験を反映

他県では代表3拠点病院のみの参加ですが、愛媛県では殆どのがん診療拠点病院(6/7)が参加していますので、愛媛県のがん患者さんの体験を知り、患者の立場に立ってがん診療を見つめ直すため、県実情を代表する良い材料となります。次回からは全拠点が参加する予定です。愛媛県の『第3期愛媛県がん対策推進計画』の中間評価でも、その結果は用いられています。

  • 定期的に行われるのでPDCA活動に好適

患者体験調査は2023年にも再度行われるので、愛媛県がん診療連携協議会の改善への努力と結果を見ることが出来、当協議会のPDCA活動として適しています。

  • 特に重要な3項目を取り上げます

調査項目の中で、特に重要性が高く、有効な対策を立てることが可能と思われる3点を対象として取り上げます。

  1. セカンドオピニオンに関する情報提供
  2. 就労支援に関する情報提供
  3. 妊孕性温存に関する情報提供

PDCA活動

厚生労働省が公布した最新の『がん診療拠点病院の整備に関する指針』では、全てのがん拠点病院において、新たながん患者全員ががん相談支援センターを訪問し、就学・就労・セカンドオピニオン・妊孕性温存等に対する相談を行える体制を構築することが望ましいとされているので、指針への対応がPDCAの基本となります。

1.セカンドオピニオンに関する情報提供

(セカンドオピニオンに関する説明はこちらをお読みください がんサポートサイトえひめ また、セカンドオピニオンの受け入れ体制の一覧はこちらをご覧ください)

・調査結果

がんの治療が始まる前に、担当医からセカンドオピニオンについて話がありましたか?

  愛媛県 全国値(補正値)
話があった 38.7 33.4
話がなかった 55.1 62.2(%)

若年がんに限れば17.6%、希少がんでも41.8%にとどまる

・第3期愛媛県がん対策推進計画中間報告の評価

セカンドオピニオンに対する周知、医療者間の情報共有、相談しやすい雰囲気作りに問題がある。

・目標

全体・若年がん患者・希少がんいずれにおいても60%を目指す。

セカンドオピニオンに関しては何%であればOKと言う指標はない。確かに全国平均を上回ってはいるが、若年がん・希少がんでの数値を見ても十分とは言えない。

・対策

  • がん診断時の説明項目にセカンドオピニオンを組み込む
  • がんサポートサイトブックを全患者に配布する
  • がんサポートサイトえひめ、イベントなどを通じセカンドオピニオンを広報する
  • 県各施設のセカンドオピニオン実施率の公表

2.就労支援に関する情報提供

・調査結果

治療を始める前に就労の継続について、病院の医療スタッフから話がありましたか?

若年がん患者に対して

  愛媛県 全国値(補正値)
話があった 46.2 46.5
話がなかった 23.1 38.2
分からない 30.8 14.3
無回答 0.0 1.0(%)

・第3期愛媛県がん対策推進計画中間報告の評価

医療者からの就労継続に関する情報や経済的な制度に関する情報があれば就労を継続できたのではないか

・目標

治療を始める前に就労の継続について、病院の医療スタッフから話があったと答える若年がん患者の割合を70%、全患者の50%に

・対策

全国値より良いが全ての患者さんが、就労支援に関する情報提供を受けられるように対策を立てる。

  • がん診断時の説明項目に就労支援を組み込む
  • がんサポートサイトブックを全患者に配布する
  • がんサポートサイトえひめ、イベントなどを通じ就労支援を広報する

3.妊孕性温存に関する情報提供

・調査結果

最初のがん治療が開始される前に、医師からその治療による不妊の影響について説明を受けましたか?

若年がん患者に対して

  愛媛県 全国値(補正値)
話があった 39.3 42.5
話がなかった 50.7 52.7
分からない 2.3 3.9
無回答 7.7 1.0(%)

・目標

全ての対象時期の患者さんが、妊孕性に関する情報提供を受けられるように以下のような対策を行う。

・対策

  • がん診断時の説明項目に妊孕性温存を組み込む
  • がんサポートサイトブックを全患者に配布する
  • がんサポートサイトえひめ、イベントなどを通じ妊孕性温存を広報する