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がん登録専門部会:活動実績コロナ速報版『がん登録で見る愛媛県のがん診療』

コロナ速報版『がん登録で見る愛媛県のがん診療 2021年診断』報告

『コロナ速報版・がん登録でみる愛媛県のがん診療2021年診断』から見えたコロナ禍のがん診療の問題点

この資料は、コロナ禍における愛媛県がん診療連携協議会の事業『コロナ速報版・がん登録でみる愛媛県のがん診療2021年診断』のために集められた参加がん拠点病院・推進病院の院内がん登録(各病院で診療したがんについて作成するデータベース)やその他の診療情報を集計して作成したものです。

これによると、2020年に減少した愛媛県のがん診療連携拠点病院・がん診療推進病院で診断あるいは治療されたがんの数(院内がん登録総数)や検診・健診等で発見されたがんの数などは2021年にかなり回復しました。
しかしながら、最初の治療が終わったがさらなる治療を受けたいと思った患者の数を反映する『初回治療終了後の患者がさらに別の病院で登録された件数(初回治療後/症例区分 40)』、長距離を移動してでも治療を受けたいという気持ちに関わる数値『松山圏域登録-非在住/松山圏域外に在住で松山圏域の病院で登録された件数』は、2021年も減少したままです。
また、診療に関する意見を主治医以外の別の医師に聞くため別の病院を受診するセカンドオピニオンのための診療情報提供を受けた人の数や実際のセカンドオピニオン受診数も減少したままです。

これらは地域のがん患者の診療に対する意欲の減弱を反映すると思われる数値です。
減少が将来に与える影響は分かりませんが、大事なメッセージとして、『患者さんの受診意欲を昂揚し、補助するような対策が望まれる』と、『健康のために必要なことは自粛してはならない』を記しておきたいと思います。

 

データの解説

 

図1_全登録数・初回治療数と検診発見数

 

 

 

 

 

 

 

 

図1・表1(表1の黄色のところを見てください)をみると、全登録数(症例区分10-40) (愛媛県のがん診療連携拠点病院・推進病院においてがんの診断・治療をされ、院内がん登録に登録された件数)、初回治療件数/症例区分: 20-31 (愛媛県のがん診療連携拠点病院・推進病院においてがんの初回治療をされ、登録された件数)、検診発見数(がん検診・健診等で発見された件数)はコロナ禍前(2018-19年)より2020年に落ち込みましたが、2021年には回復しました。
同様に、松山圏域在住で同圏域の病院で診療を受けた人数は2021年には以前の数値に戻っていますが、(表1の青色のところを見てください)松山圏域外在住で、松山圏域の病院までやってきて診療を受けた人は2021年も減少したままです。
また、初回治療終了後の患者さんがさらに別の病院で登録された件数(初回治療後/症例区分 40)も20年に減少後、増加していません。セカンドオピニオン受診数・セカンドオピニオンのための資料請求時の保険請求数(診療情報提供料II)も同様に2020年減少後回復していません。

 

表1
愛媛県がん診療連携協議会参加病院のコロナ禍前2018-19年平均と
コロナ禍の2020年, 2021年がん登録および患者移動の指標の年別集計値

 

 

 

 

 

 

 

 

 

    松山圏域登録-在住:松山圏域に住所があり、松山圏域の病院で登録された件数
    松山圏域登録-非在住:松山圏域外に住所があり、松山圏域の病院で登録された件数
    松山圏域は松山市を中心とした愛媛県唯一の都市圏で県内の院内がん登録数
    上位4施設が位置します。愛媛県中央部の2次医療圏にも相当します。

 

表2はそれらの件数を月ごとに集計したものです。コロナ禍前の2018-19年の月ごとの数値に対し、コロナ禍の2020年、2021年の数値がどのように変化しているか、統計学的な評価も加えました初回治療終了後の患者さんがさらに別の病院で登録された件数(初回治療後/症例区分 40)、セカンドオピニオン受診数・セカンドオピニオンのための資料請求時の保険請求数(診療情報提供料II)は2020年以降、2021年においても数減少したままです。

表2
愛媛県がん診療連携協議会参加病院のコロナ禍前2018-19年平均と
コロナ禍の2020年, 2021年のがん登録集計値および患者移動の指標の月ごとの集計値

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  *:2018-19年に対して、月毎の数用いてWilcoxon rank sum testと言う検定を行い、
    p<0.05の時に統計学的に意味がある差であると評価しています

 

図2は愛媛県がん診療連携協議会参加病院の月ごとの院内がん登録総登録数(a)、検診発見数(b)を折れ線グラフにしたものです。総数は緊急事態宣言が出た2020年の5月に落ち込んだものの秋以降は回復傾向になり、感染が再拡大した2021年初頭にやや落ちたものの以降概ね例年並みに推移しています。検診発見されるがんの数は同じく2020年5月に大きく落ち込み、その後例年より低く推移するものの2021年には概ね例年並に回復しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、 図3によると、2020年5月以降、愛媛県がん診療連携協議会病院の月ごとのセカンドオピニオン受診数やそのための情報提供は例年の数まで回復していません。セカンドオピニオン受診は患者の治療意欲に関係するとされています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

↓↓詳細は下記よりよりPDFデータ(1.2MB)をダウンロードしてご確認ください。↓↓

2021年診断_コロナ速報用集計結果

 

 

 

 

 

 

 

 

コロナ速報版『がん登録で見る愛媛県のがん診療 2020年診断』報告

愛媛県がん診療連携協議会・がん登録専門部会は、毎年発刊している『がん登録で見る愛媛県のがん診療』に関し、2020年データをコロナ禍のがん診療への影響と、がん診療の現状や今後への課題を考える上で重要な情報と考え、2021年(令和3年)10月11日にオンライン報告会で速報しました。
その際の報告動画と、資料を提示します。

 

 

 

 

 

       ↑報告動画(外部サイトへ遷移します)        ↑スライド資料(PDF:3.5MB)

 

愛媛県下のコロナ禍のがん診療の影響を解説

この資料では、コロナ禍に愛媛県の各がん診療病院のがん診療はどう変化したか、患者・住民はどう行動したかを反映するデータを解説しています。

住民・一般医療関係者向けの解説

出来るだけ簡単な説明を心がけています。院内がん登録の正式な用語使用法や厳密な解釈を避け、一般住民および医療者向けに出来るだけわかりやすく報告します。

最も信頼性の高い院内がん登録データを利用

院内がん登録とは、有資格の腫瘍登録士が各病院のがん診療を登録するもので、最も信頼度の高いがんのデータベースであるとされています。今回のデータは、愛媛県がん診療連携協議会に所属する全がん診療病院の院内がん登録をまとめたもので、愛媛県のがん診療の大部分を反映しています。

日本初の地域のがん診療情報

他都道府県に先駆けた、日本最初の県単位の集計値公表です。
また、県を超えるがん患者の移動が少ない愛媛県の特性から考えて、今回の速報値はコロナ禍の日本のがん診療の縮図としてとらえることも出来るのではないかと考えています。

 

<資料・使用スライドの一部抜粋>

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お問い合わせ

閲覧、リンクの拡散は自由ですが、二次利用に関してはご相談ください。
がん登録専門部会事務局<519-ml-cr★mail.hosp.go.jp ※★を@に変えてください。>

 

コロナ速報版『がん登録で見る愛媛県のがん診療 2020年診断』報告 on line meeting

コロナ速報版『がん登録で見る愛媛県のがん診療 2020年診断』報告 on line meetingを2021年10月11日(月)14:00から行いました。
事前登録不要です。
専門用語を避け、一般住民および医療者向けに出来るだけわかりやすく報告します。
当日はこちらよりご入場ください。

日時:2021年10月11日(月)14:00から
※報告会は終了いたしました。たくさんのご参加ありがとうございました。

 

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